昆虫大学2014in横浜 レポその3
さて、時計は17時をまわり、授業終了のチャイムと共に一日目の展示終了!!
今回は昆虫大学初の試みとして
夜間部「昆虫夜学」なる予約制パーティーが開催されており、事前にチケットを購入したお客さんがディナー(?)を楽しみながら研究者のトークを聞く、といった流れになっております。
あわただしい雰囲気の中、
会場の半分がレイアウト変更してトーク会場となり登壇者(私含む)はデータのチェック。
開場時間と同時に、並んでいたお客さん達が入場し、ケータリングのディナーとドリンクを手に席についていきます。

しかし、そんな中、
私のデータだけプロジェクターに出ない!
という事態が。。。(PC上では再生されている)
その時、私の頭の中に浮かんだ言葉は「羽化不全」
絵本をバラして、紙芝居をするか?
しかし用意したあのネタが…などと、脳内は超絶テンパってました。
結局、山田Pさんのおかげで無事再生できたのですが、やっぱりデータだけでなく、自身のノートPC(再生環境)などを持ってきた方が安心ですね。。。(そうされてる方も多かった)
そして18時。お客さんと関係者で超満員の中
いよいよ夜学が始まりました。
私はといえば、待機席でご飯やアルコールを頂いて、登壇者の発表を堪能しつつも、最後から2番目の自身の発表におびえる、という大変忙しい状況でした。
ですので、うろ覚えの内容で恐縮ですが
拙いイラストと、文字多めで紹介いたします。(間違ってたらご指摘ください)

夜学のメイントークは
岡本朋子さん(化学生態学者・森林総合研究所)による「花粉を運ぶ昆虫たち:したたかな植物と従順な昆虫の共生関係」

トークの内容は、今年の昆虫大学の校章のモチーフでもあるハナホソガという小さくて地味(失礼!)な蛾と、これまた小さくて地味なカンコノキという植物の共生関係についてだったのですが…
この小さな世界がとっても深い!
派手な見た目を持たないカンコノキは、ある種のハナホソガを誘因する匂いを出して、受粉の手伝いをさせます。ハナホソガのメスは、食草であるカンコノキの種子に産卵し、産まれた幼虫はその種子を食べて育つ、という一見Win-Winな共生関係を築いています。
しかし産卵されたカンコノキは、あまり卵を生ませると種が残らないので、卵を二個生みつけれられた種子を落としてしまう。という…
お花に群がる小さな虫さんたち。ほっこり。
…なイメージの裏側で、お互いがお互いの生存を賭けた戦略的進化を遂げている、という自然が織りなすドロドロした世界のお話でした。
ちなみに
昆大の公式Tシャツを着た岡本さんは、はんなりした京ことば(推測)で、ズバズバと蛾と花の関係性以上のものを切っていきます(笑)
「メスが命をかけて卵産んでるのに、オスは飲み会してる」
「だから野外だとオスの寿命の方が長いかも」
「というかそんなオスは死ね(意訳)」
など、私ふくめ男性の聴衆は殺られっぱなしでした。(笑)
その後、質疑応答タイムがあり、たくさんの質問が飛んだのですが
「ハナホソガは、産卵されたカンコノキかどうかはどうやって判別してるのか?」
という質問への回答で
「匂いが変わります。それでも掟を破る裏切り者やうっかり者は子孫を残せません。」
おおう…私がメスだとしても、絶対うっかりして産むタイプだ。。。
岡本さんの研究についてはこちらのRikejo(リケジョ)というサイトの
インタビュー記事にもくわしくまとまっています!
そしていよいよ贅沢な登壇者による
ライトニングトーク(5分間のプレゼンタイム)に突入!

(1)白水貴さん(菌類研究者 国立科学博物館)による「DAWN of the ZONBIE ANT」

トップバッターは、声の良すぎるダンディな研究者。(濃い目)
登壇しただけで、ただ者ではないオーラを放っています。
そして発表内容は
アリをゾンビ化させる菌と、敬愛するゾンビ映画「Dawn of the Dead」の関連性について!
…しびれるほど頭が狂ってます(褒)
スライドの内容は
・アリに寄生する菌を紹介するのにマンガ「寄生獣」を引用。(つかみで爆笑)
・ゾンビ蟻が菌に侵された後も、生前(?)の行動を繰り返すが、ゾンビ映画でもショッピングモールに集まるゾンビの行動が確認されている。。。などなど
牽強付会ながらも計算しつくされた発表に、会場は大爆笑。
私の持っている研究者のイメージを、完全に破壊するダンディきのこマンの姿に、ますます自分の番が怖くなりました。。。
白水さんは若手の研究者として、積極的にニコニコ学会に出たり、海外で講演したり「毒きのこ 世にもかわいい危険な生きもの」の監修など大変に活躍されているご様子。

トーク後に購入して拝読しましたが、美しく怪しい写真と、実例を挙げた毒きのこ解説の怖さがたまらない(笑)
すばらしい本でございました。キノコ界も面白そうですね〜。
その後白水さんには、担子菌門や子嚢菌門のお話やら、枯れ葉を分解するバクテリアのことまで、素人の私にも分かるように教えて頂きました。白水さん(変態ぽいけど)ええ人や。。。

(2)風の旅行社 嶋田京一さんによる
「報告!ときめき昆虫観察会」

昼の部の展示ブースでもご紹介した「風の旅行社」さんですが、
5月、6月に秦野で開催された日帰り昆虫観察ツアー「ときめき昆虫学」と、8月に高尾で開催された「ときめき昆虫ナイト」の様子をスライドで紹介!
秦野の駅前から、ぞろぞろとフィールドへ向かう一行の写真とともに
「まだ住宅街なのに50m歩くのに30分かかる。虫を見つけると進まない」
高尾の夜の観察会では
自販機に集まる虫を観察するために、自販機に集まる参加者の写真を前に
「あやしい」
と、笑いを誘う嶋田さんの解説。
私も5月のツアーに参加しましたが、
超楽しかった上に、現地で虫の写真がうまく撮れなかったことに業を煮やして、新しいカメラ買っちゃいました。あとマクロレンズも。あと捕虫網と…(以下略)
まだまだ虫の居場所がわからない方や昆虫観察を始めたいけどきっかけが…という方はぜひ参加することをおすすめします! つーか、また来年あったらリベンジに行きます。

(3)堀川大樹さん(クマムシ博士)による
「クマムシのはなし」

言わずと知れた(2回目)クマムシ博士によるふわっとしたタイトルのトーク(笑)
白衣&クマムシさん帽という出立ちの博士による、クマムシの基本的な知識についてのお話でした。
主なテーマは
「クマムシはどこにでもいる」と「宇宙でも生きていけるすごいムシ」
どこにでもいるということで、学長と一緒に都内で採取したコケの写真を示しながら
「この人毛がからまったきったないコケがいいんですよ」
と熱く語る博士(笑)
・乾眠することで極限環境でも耐えられる
・体内の水のほとんどを失う
・代謝が見られない
・長期生存(10年)が可能になる
・極限環境耐性がみられる、など
クマムシのすごさをこれでもか!と並べていきます。
昼間キャラクターグッズを売っていた
博士の姿とはまた違う、研究者らしいプレゼンでした!
というか普段は研究をして、昼間は物販して、夜はトークやって、翌週はデザフェス出て…と、ある意味博士も最強生物だと思います。。。
そんな堀川博士の書籍はこちら!
クマムシ博士の「最強生物」学講座


(4) 知久寿焼さんによる
「東南アジアのチビズキンツノゼミ種群」

「…ツノゼミはもう皆さんご存知ですね?」
から始まった、東南アジアに住むチビズキンツノゼミ種群への解説とその愛。
知久さんと言えば、
私が中学生の頃に「たま」というバンドのギター・ボーカルとしてイカ天からデビュー、紅白歌合戦にも出場し、現在も精力的に音楽活動を続けておられる、レジェンド級のミュージシャンの方なのですが…
以前から東南アジアのツノゼミの採取・分類をしており、この後登壇する丸山先生の研究室にも行き来して、最近は論文まで手がけているそうです!
このライトニングトークでは、ある意味誰よりも学者らしく(失礼!)チビズキンツノゼミについて語っておりました。
そしてそのトークの合間にふと
「ね、かわいいんです。」
とあの素敵な声で言われると、会場はほわ~んとなってしまいますね(笑)
虫好きはいつから?という質問に
「音楽で忙しくなって忘れていたけど、
ツアーとかの空き時間に虫を見てまた戻ってきた」とのこと。
素のプレゼンで、こんなに胸を熱くさせる方がいるのも昆虫大学なんだなあ…と、待機席でなんだかじーんときてしまいました。
長くなったの休憩タイムです。
レポその4はこちら!

今回は昆虫大学初の試みとして
夜間部「昆虫夜学」なる予約制パーティーが開催されており、事前にチケットを購入したお客さんがディナー(?)を楽しみながら研究者のトークを聞く、といった流れになっております。
あわただしい雰囲気の中、
会場の半分がレイアウト変更してトーク会場となり登壇者(私含む)はデータのチェック。
開場時間と同時に、並んでいたお客さん達が入場し、ケータリングのディナーとドリンクを手に席についていきます。

しかし、そんな中、
私のデータだけプロジェクターに出ない!
という事態が。。。(PC上では再生されている)
その時、私の頭の中に浮かんだ言葉は「羽化不全」
絵本をバラして、紙芝居をするか?
しかし用意したあのネタが…などと、脳内は超絶テンパってました。
結局、山田Pさんのおかげで無事再生できたのですが、やっぱりデータだけでなく、自身のノートPC(再生環境)などを持ってきた方が安心ですね。。。(そうされてる方も多かった)
そして18時。お客さんと関係者で超満員の中
いよいよ夜学が始まりました。
私はといえば、待機席でご飯やアルコールを頂いて、登壇者の発表を堪能しつつも、最後から2番目の自身の発表におびえる、という大変忙しい状況でした。
ですので、うろ覚えの内容で恐縮ですが
拙いイラストと、文字多めで紹介いたします。(間違ってたらご指摘ください)

夜学のメイントークは
岡本朋子さん(化学生態学者・森林総合研究所)による「花粉を運ぶ昆虫たち:したたかな植物と従順な昆虫の共生関係」

トークの内容は、今年の昆虫大学の校章のモチーフでもあるハナホソガという小さくて地味(失礼!)な蛾と、これまた小さくて地味なカンコノキという植物の共生関係についてだったのですが…
この小さな世界がとっても深い!
派手な見た目を持たないカンコノキは、ある種のハナホソガを誘因する匂いを出して、受粉の手伝いをさせます。ハナホソガのメスは、食草であるカンコノキの種子に産卵し、産まれた幼虫はその種子を食べて育つ、という一見Win-Winな共生関係を築いています。
しかし産卵されたカンコノキは、あまり卵を生ませると種が残らないので、卵を二個生みつけれられた種子を落としてしまう。という…
お花に群がる小さな虫さんたち。ほっこり。
…なイメージの裏側で、お互いがお互いの生存を賭けた戦略的進化を遂げている、という自然が織りなすドロドロした世界のお話でした。
ちなみに
昆大の公式Tシャツを着た岡本さんは、はんなりした京ことば(推測)で、ズバズバと蛾と花の関係性以上のものを切っていきます(笑)
「メスが命をかけて卵産んでるのに、オスは飲み会してる」
「だから野外だとオスの寿命の方が長いかも」
「というかそんなオスは死ね(意訳)」
など、私ふくめ男性の聴衆は殺られっぱなしでした。(笑)
その後、質疑応答タイムがあり、たくさんの質問が飛んだのですが
「ハナホソガは、産卵されたカンコノキかどうかはどうやって判別してるのか?」
という質問への回答で
「匂いが変わります。それでも掟を破る裏切り者やうっかり者は子孫を残せません。」
おおう…私がメスだとしても、絶対うっかりして産むタイプだ。。。
岡本さんの研究についてはこちらのRikejo(リケジョ)というサイトの
インタビュー記事にもくわしくまとまっています!
そしていよいよ贅沢な登壇者による
ライトニングトーク(5分間のプレゼンタイム)に突入!

(1)白水貴さん(菌類研究者 国立科学博物館)による「DAWN of the ZONBIE ANT」

トップバッターは、声の良すぎるダンディな研究者。(濃い目)
登壇しただけで、ただ者ではないオーラを放っています。
そして発表内容は
アリをゾンビ化させる菌と、敬愛するゾンビ映画「Dawn of the Dead」の関連性について!
…しびれるほど頭が狂ってます(褒)
スライドの内容は
・アリに寄生する菌を紹介するのにマンガ「寄生獣」を引用。(つかみで爆笑)
・ゾンビ蟻が菌に侵された後も、生前(?)の行動を繰り返すが、ゾンビ映画でもショッピングモールに集まるゾンビの行動が確認されている。。。などなど
牽強付会ながらも計算しつくされた発表に、会場は大爆笑。
私の持っている研究者のイメージを、完全に破壊するダンディきのこマンの姿に、ますます自分の番が怖くなりました。。。
白水さんは若手の研究者として、積極的にニコニコ学会に出たり、海外で講演したり「毒きのこ 世にもかわいい危険な生きもの」の監修など大変に活躍されているご様子。

トーク後に購入して拝読しましたが、美しく怪しい写真と、実例を挙げた毒きのこ解説の怖さがたまらない(笑)
すばらしい本でございました。キノコ界も面白そうですね〜。
その後白水さんには、担子菌門や子嚢菌門のお話やら、枯れ葉を分解するバクテリアのことまで、素人の私にも分かるように教えて頂きました。白水さん(変態ぽいけど)ええ人や。。。

(2)風の旅行社 嶋田京一さんによる
「報告!ときめき昆虫観察会」

昼の部の展示ブースでもご紹介した「風の旅行社」さんですが、
5月、6月に秦野で開催された日帰り昆虫観察ツアー「ときめき昆虫学」と、8月に高尾で開催された「ときめき昆虫ナイト」の様子をスライドで紹介!
秦野の駅前から、ぞろぞろとフィールドへ向かう一行の写真とともに
「まだ住宅街なのに50m歩くのに30分かかる。虫を見つけると進まない」
高尾の夜の観察会では
自販機に集まる虫を観察するために、自販機に集まる参加者の写真を前に
「あやしい」
と、笑いを誘う嶋田さんの解説。
私も5月のツアーに参加しましたが、
超楽しかった上に、現地で虫の写真がうまく撮れなかったことに業を煮やして、新しいカメラ買っちゃいました。あとマクロレンズも。あと捕虫網と…(以下略)
まだまだ虫の居場所がわからない方や昆虫観察を始めたいけどきっかけが…という方はぜひ参加することをおすすめします! つーか、また来年あったらリベンジに行きます。

(3)堀川大樹さん(クマムシ博士)による
「クマムシのはなし」

言わずと知れた(2回目)クマムシ博士によるふわっとしたタイトルのトーク(笑)
白衣&クマムシさん帽という出立ちの博士による、クマムシの基本的な知識についてのお話でした。
主なテーマは
「クマムシはどこにでもいる」と「宇宙でも生きていけるすごいムシ」
どこにでもいるということで、学長と一緒に都内で採取したコケの写真を示しながら
「この人毛がからまったきったないコケがいいんですよ」
と熱く語る博士(笑)
・乾眠することで極限環境でも耐えられる
・体内の水のほとんどを失う
・代謝が見られない
・長期生存(10年)が可能になる
・極限環境耐性がみられる、など
クマムシのすごさをこれでもか!と並べていきます。
昼間キャラクターグッズを売っていた
博士の姿とはまた違う、研究者らしいプレゼンでした!
というか普段は研究をして、昼間は物販して、夜はトークやって、翌週はデザフェス出て…と、ある意味博士も最強生物だと思います。。。
そんな堀川博士の書籍はこちら!
クマムシ博士の「最強生物」学講座


(4) 知久寿焼さんによる
「東南アジアのチビズキンツノゼミ種群」

「…ツノゼミはもう皆さんご存知ですね?」
から始まった、東南アジアに住むチビズキンツノゼミ種群への解説とその愛。
知久さんと言えば、
私が中学生の頃に「たま」というバンドのギター・ボーカルとしてイカ天からデビュー、紅白歌合戦にも出場し、現在も精力的に音楽活動を続けておられる、レジェンド級のミュージシャンの方なのですが…
以前から東南アジアのツノゼミの採取・分類をしており、この後登壇する丸山先生の研究室にも行き来して、最近は論文まで手がけているそうです!
このライトニングトークでは、ある意味誰よりも学者らしく(失礼!)チビズキンツノゼミについて語っておりました。
そしてそのトークの合間にふと
「ね、かわいいんです。」
とあの素敵な声で言われると、会場はほわ~んとなってしまいますね(笑)
虫好きはいつから?という質問に
「音楽で忙しくなって忘れていたけど、
ツアーとかの空き時間に虫を見てまた戻ってきた」とのこと。
素のプレゼンで、こんなに胸を熱くさせる方がいるのも昆虫大学なんだなあ…と、待機席でなんだかじーんときてしまいました。
長くなったの休憩タイムです。
レポその4はこちら!

by toyosaki_kanji
| 2014-11-11 00:40
| 虫イベント
虫絵本作家・とよさき かんじによる虫ブログです。初心者なので虫にまつわるすべてが新鮮です!
by toyosaki_kanji
PROFILE
とよさき かんじ
2014年7月に世界初の土壌生物絵本「くるりん!ダンゴム」を出版し、ダンゴムシキャラのダンゴムを広めようとしています。本業はおもちゃのデザイナーです。
長い間、虫好きを封印していましたが、TG-3を携えてフィールドに戻ってきました。間違ってる虫がいたらご指摘お願いいたします。
2014年7月に世界初の土壌生物絵本「くるりん!ダンゴム」を出版し、ダンゴムシキャラのダンゴムを広めようとしています。本業はおもちゃのデザイナーです。
長い間、虫好きを封印していましたが、TG-3を携えてフィールドに戻ってきました。間違ってる虫がいたらご指摘お願いいたします。
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